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ドミナの虚像と実像


  「わたしは…普通の女の子だよ」

 お猪口の淵につややかな唇をあて、僕の瞳の奥の反応を探るように見つめながらご主人様はそう仰いました。

 その美しさと輝きはとても普通ではないのだけれど、ご主人様の仰りたい事はわかりました。

 随分以前、ご調教中に「ムギは自分の中の私を見過ぎ!」とご注意を受けた事もありました。


 普通の女の子。

 かつて コンサートの最中、「私たちは普通の女の子に戻りたい!」とファンの前で涙ながらに訴え、解散した女性アイドルグループがあったっけ。

 ファンが求めるイメージを損なわないように、生い立ちや私生活、恋人の存在をひた隠しにし、虚像を演じ続ける事に疲れ果てて消え去っていったアイドル達は、どれほどいたことでしょう。


 女王様というのは、ある意味M男が都合良く作り上げた虚像です。


 当然ながら、彼女達は女王様である前に1人の人間であり、等身大の女性であるはずです。

 女王様がたはM男の夢を壊さないように、理想の女王様像を演じて下さっている。


 「プレイ時間外に女王様から敬語を使われると萎える」と言っていたM男性がいました。

 接客は不要。 彼は、初対面からタメ口で常に上から目線で接してくれる女王様がお好みなのだそうです。

 冷酷に、手加減は一切なしで徹底的に責められ追い込まれたい。
万が一ひどい怪我を負ったとしても、動揺したり申し訳なさそうな顔で謝られると女王様としての資質を疑ってしまう、と。

 彼は僕のご主人様をご存知で、「お店にいた頃一度お目にかかりたかったけれど、最後までスケジュールが合わず願いは叶わなかった」と言っていました。

 「それでよかったのかもしれない…」と僕は思いました。

 ご主人様は、乞われればそうしたふうを装うことはできるだろうけれど、本来そこまで徹底した女王様タイプではないと思うから。

 しかし、業界には彼の理想に叶う根っから女王様気質の方々も多勢存在するようです。


 僕はSMクラブ通いの頃、女王様に対してそこまで自分の理想を求める事はありませんでした。 M女性に女王様役を演じて頂いた事もありますし、虚像と承知の上で充分SMを楽しむことができました。

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 僕のご主人様は柔和なお顔立ちをされているので、どちらかと言えばM女性寄りに見られる事が多いかもしれません。

 出会った頃は、果たして自分が望んでいるようなハードプレイをお願いしてもいいものかどうか、僕のほうが躊躇うくらい清楚な雰囲気を醸し出しておられました。 しかし、実際にはM性は全く持ち合わせておらず、ハードな責めも躊躇なくこなされる生粋のS女性でした。

 ご性格は穏やかで笑顔がとても魅力的ですが、反面、プライドが高く芯の強いかただと思います。

 ご調教時はメリハリがあって、僕を緊張させるに十分な威厳をお持ちです。

 30年以上SMクラブに通って、唯一、心から跪きたいと思った女性でした。

 プライベート奴隷にして頂いてからは、そんなご主人様と虚構ではない主従関係を築きたいと真剣に願い続けてきた事だけは確かです。 

 ご主人様がご自分の事を「私は普通の女の子だよ」と仰った胸の内には、二回りも歳上の男が真摯に自分の奴隷になりたいと懇願する姿に、今も多少の戸惑いを感じられているからかもしれません。


 ご主人様はSMにおいてはハード嗜好ですが、ご調教中は常に僕の反応を観察し、お考えを巡らせながら責めて下さいます。

 ブレーキをかける事なく自分が満足するまで徹底的にM男を痛めつける。

 そんな無慈悲なS女性を望んでいる向きには物足りないのかもしれませんが、M男性の許容を見極めながら、ほんの少しだけそれを超える事でご自分も支配欲を満たされ、奴隷としての自覚も植え付ける…

 そんな手練れは普通の女の子には中々出来る事ではありません。


 僕は、ご主人様のSMに“愛情”を感じています。
たとえ形はいびつであっても、SMも男女の愛の一形態には違いありません。


 もちろん僕も、ご主人様が“普通の女の子”である事は百も承知しています。
むしろご主人様が普段はあまり女王様オーラを発していないからこそ、ご調教時とのギャップに萌えているのだと思います。

 SMクラブを介してお会いしていた頃は、ご挨拶を交わすとすぐに僕が持参したシナリオをお読みになり、そのままストーリープレイに入られていました。 終了するとほとんど雑談を交わす間もなく、慌ただしく次のお客さんの元へと移動されていたので、当時の僕はご主人様が女王様の時のお顔しか知りませんでした。

 僕の方もあえて、ご主人様の素顔や私生活には興味を持たないようにしていました。

 女王様はいつ突然お辞めになるかわかりません。 あまり深入りし過ぎると、お別れが来た時に辛い思いをする事は経験が教えてくれていたからです。

 プレイ後にお忘れ物をされていく事が多かったので、多少そそっかしい面をお持ちなのかなとは思っていましたが、あとは謎のベールに包まれた女性でした。

 ところが、店外でお会いするようになってからは、ご調教中に日常的な会話を沢山交わすようになり、そのお人柄やご関心事など、自然とご主人様の素顔に触れられるようになりました。

 女王様の実像を知ることで、失望を感じてしまうM男もいるかもしれません。 しかし僕の場合は、ご主人様の素顔を知れば知るほどその魅力に惹かれていき、崇拝心も高まっていきました。

 ご主人様の事を女王様として崇拝しているというよりは、1人の女性として敬愛し憧れ、崇拝している。 ここ最近、特にその事を強く自覚するようになりました。


 昨年の10月3日、ご主人様と僕は主従関係をより一層強固なものにする為のセレモニーを行いました。

その経緯をブログで公開しようと途中まで書き綴りながら半年が過ぎた今もお蔵入りさせたままなのは、余韻に浸っていたいという気持ちと、あの日から劇的に変わった主従関係を2人だけの秘め事にしておきたいという思いからかもしれません。


 
 その日、セレモニーを終えて、ご主人様と僕は初めてホテルの外でお酒を酌み交わしました。

 それまでご主人様は、他に交流をされているM男達とはプライベートでも気軽にお会いになり、お食事やショッピング、SMイベント等をご一緒されていました。 しかし、僕とだけは頑なに、お店の頃と変わらぬ密室のご調教のみで支配と服従の関係を維持されてきたのです。

 それはもしかしたら、必要以上に素の自分を見せる事で、僕がご主人様に抱いている崇高とも思えるイメージを損なってはいけないというご配慮からだったのかもしれません。

 あるいは自分の事を信奉し過ぎている信者の前で、虚像を演じ続ける事に疲弊されていたのかもしれません。

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 ご主人様はその当時、「ムギは私の奴隷、他のM男くん達は同じSM趣味を持つ同士のようなものかな…」と仰っていました。

 それは僕にとって、この上ない名誉あるお言葉だったはずです。

 ところが僕は、他のM男達と遊興を重ね、その様子を楽しげに語るご主人様を見る度に疎外感を覚え、孤独感を深めていきました。

 ご主人様とご調教以外の時間にも交流を深めたいという思いは、僕が個人奴隷にして頂いた頃からの願いでした。
しかし、最底辺の奴隷のステータスを望んだのもまた、僕自身だったのです。


 僕はご主人様の素顔に触れた事で、人としてご主人様に熱烈な恋心を抱いてしまったのでした。


それは禁断の片思い。


 下から仰ぎ見るだけで十分だったはずなのに…美しい花を咲かせるための養分になりたいと願っていたはずなのに…見返りを求めない愛情を注ぐ事が奴隷の本分だと思っていたはずなのに…

奴隷になりきれない自分との葛藤。


 僕は他のM男達に耐え難いジェラシーを覚え、ジレンマに悩み、傷つき、苦しみのあまり一度はご主人様の元から離れようとまで考えました。

 けっしてご主人様とノーマルな恋人同士になりたかったわけではない。 男女の深い関係を望んでいたわけでもない。 そんな事は畏れ多い事です。

でも、心と心の奥底では信頼し合い、もっと深い絆で結びついていたい。


 その当時、ご主人様とメールで連絡を取り合うのは月に2〜3回程度、内容も日程の調整が主でした。 ケータイ番号を交換してはいたものの、かけた事もかかってきた事も1度もありません。 お会い頂けるのは月に1回、ご調教時の6時間だけ。

 それなのに家に1人でいると毎日四六時中ご主人様の事ばかりを考えてしまい、何も手につかず悶々と苦しみ続けていたのです。

 お会いしている時は何もかも忘れてご調教に集中できるのですが、ご主人様をお見送りし、ホテルの部屋に1人になった途端、いつも激しい孤独感に襲われました。


 このままでは苦しくてどうにかなってしまいそうだ…

 ご主人様にもご迷惑をおかけしてしまうかもしれない…


 当時の僕は、私生活においても様々な心配事やストレスに心を乱されていた時期でもありました。


 もう、このまま奴隷を続ける事は限界かもしれない。 しばらくの間、ご主人様とは距離を置きたい…


 僕はご主人様にメールで苦しい胸の内を伝え、ご調教の無期限の休養願いを申し出ました。

 初めて巡り合った日から数えて5年。 その間、僕にとってご主人様のいない生活は考えられませんでした。

 自分がどうなってしまうのか想像すらつかないままに、気がつくと僕はメールの送信ボタンを押していました。


 ご主人様は、僕の突然の申し入れに大変驚かれたようです。 身体に焼印でお名前まで入れて頂き、生涯奴隷としてお仕えする事を誓ったはずなのに…。

 それまで奴隷という虚像を演じていたのは僕の方だったのかもしれません。


 ご主人様は3通に渡る長文のメールを下さり、僕の事を引き留めて下さいました。 そこに書かれていたご主人様の僕に対する思いは、意外でもあり、とても嬉しかった…

 今思うと、僕の気持ちを慮って下さったのか、虚実入り混じる内容ではありましたが、お言葉の一つ一つが胸に突き刺さりました。

 「泣きながらこのメールを書いているよ。 ムギとはもう二度と会えないかもしれないけれど、共に過ごした時間は忘れないよ。 私の感情を動かしてくれてありがとう…」

 僕はすぐにでもご主人様の元へ行き、お足元にすがりつきたい気持ちになりました。

 でももう後戻りはできない…

 再び必ずご主人様の元に帰ってくる事をお誓いし、僕は一人長いトンネルの中に入って行ったのでした。


 それは僕にとって辛く苦しい地獄の日々でした。

 精神的にどん底だった頃に巡り合い、すがるように跪いた女神のような存在。

 あの頃はご主人様の存在にどれほど救われた事でしょう。

 僕は自らその安らぎの場所を捨て、再びどん底へと堕ちていったのです。

 その後、抜け殻のようになった僕は新規の仕事をほとんど断り、何もする気力がなく1人家に閉じこもる日が続きました。

 灰色で沈鬱な日々。

 苦しみから逃れられるどころか益々募るご主人様への想い焦がれ。

 一体自分は何をしたかったのだろう?… 今思い返してみてもよくわかりません。 もしかしたら軽いうつ状態だったのかもしれません。

 これまでもけっして順風満帆な人生ではありませんでしたが、これほど大きな喪失感を味わい、空虚感を抱いた事はありませんでした。

 心にぽっかりと穴が開いたような…

 当時の僕にとってこれほどピッタリ当てはまる表現は他に見当たりません。

 しかし、それはご主人様と自分の関係性を見つめ直す良い機会でもあったのです。


季節は冬から春へ。


 少しずつ暖かくなってきた頃、僕はご主人様との再会を願い出ました。 ちょうど昨年の今頃の事です。


 僕は一体どんな顔をしてご主人様にお会いしたらいいのだろう…

 信頼を損なう行動をとってしまった事で、主従関係に大きな溝ができてしまったのは間違いない…

 そんな事を考えると再会に及び腰になりますが、あまり期間を空けてしまうと今度はご主人様のほうから拒絶されてしまいそうな気がしました。


 僕の休養期間に合わせるように、ご主人様と他のM男達の関係もなんとなくギクシャクしてしまったようでした。

 メールで「あれから私も色々と自分の事について考えているよ。 ムギが戻ってくる時まで私は女王様を続けていられるかどうかわからない…」と心細いお言葉を頂きました。

 「そんな事は仰らないで下さい。 ご主人様が女王様をご引退されたら、僕には帰る場所が無くなってしまいます。」 自分勝手な事をしておきながら、僕は祈るような気持ちでいました。

 しばらくしてご主人様から返信がありました。

 「ムギが私の事を女王様と思っていてくれるなら、その間、私はずっと女王様でいられる…」

 そのお言葉で僕はハタと気がつきました。

 普通の女の子を女王様たらしめているのは、彼女を崇拝する奴隷達の存在である事を…


 5ヶ月間の休養を経て奴隷として復活させて頂いた時、ただ一つだけわかった事がありました。

 それは「僕は、ご主人様がいて下さらなくては生きていけない」という事実でした。

 ご主人様が自分の人生にとってかけがえのない存在である事を再認識したのです。

 そして、僕の存在がご主人様のSMに多大な影響を与えていたという事も改めて知りました。


 久しぶりに再会させて頂いたご主人様は、何事もなかったかのように以前どおりの優しい笑顔で僕を迎え入れて下さいました。

「私にどれだけ寂しい思いをさせたと思っているの⁉︎」と仰って、特大のお灸を据えられてしまいましたが、僕の中のわだかまりは氷解していました。

 
 僕は奴隷としてあるまじき行動をとってしまいましたが、結果的にはそれがご主人様との絆を深める事になりました。

Kneel to female


 復帰から約半年後、昨年10月3日に行ったセレモニーでは、それまでの二人の関係を仕切り直し、新たな気持ちで奴隷としてお仕えする事を誓約させて頂きました。

 「ムギが他の子達に嫉妬する理由なんか何もないよ。 むしろムギは嫉妬される立場でしょ?」

 セレモニーを一通り終えるとご主人様はそう仰って下さいました。


 僕はその日以来、自分のプライバシーや個人情報を全て包み隠さずにご主人様の前に開示するようになりました。

 真剣に生涯奴隷としてお仕えさせて頂く気持ちがあるのならば当然の事ですが、以前の僕にはそこまで踏み切れない迷いもあったのです。

 
 ご主人様も僕の真剣な思いに応えて下さり、ありのままのお姿を見せて下さるようになりました。
ジグソーパズルのピースを一つ、また一つと…組み合わせていくように、少しずつご主人様の実像が姿を現し始めました。

 女王様と奴隷の距離はかつてないほど近づいていました。

 距離が近づけば近づくほどご主人様が仰っていた普通さも沢山見えてきました。 その中にはもしかしたら知らないほうがよかったのかも…と思えるような事実もありました。

 心がざわざわしたり、ヒリヒリしたりする事もありました。

 けれども、ご主人様の真実のお姿を受け容れていく事は、真の奴隷になるためには必要不可欠な事だと思えました。 ご主人様の実像を知らないままでは、本物の崇拝ではないような気がしていたのです。

 両者が虚像を捨てて向かい合い、改めて僕がご主人様の前に跪いた瞬間に、初めて本物の主従関係が築かれたと思いました。

 しかし、たとえどんなにご主人様との距離が近づいたとしても、僕は決して奴隷の立場を忘れる事はありません。


 ご主人様との主従関係は新たなステージを迎えつつある…

 そんな実感に今、奴隷の胸は激しくときめいているのです。

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トト子様の奴隷

 僕のご主人様は今、 「おそ松さん」にハマっています。

 「おそ松さん」というのは、言わずと知れた赤塚不二夫の「おそ松くん」を原作に、作者の生誕80周年を記念して製作されたTVアニメの事です。

 2015年の10月から翌年3月までテレビ東京で放映され、初回放送後から若い女性達の間で爆発的なブームが起こりました。


 日本が高度経済成長期真っ只中の頃に流行った古めかしい作品が、なぜ今若い女性達にもてはやされるのか?

 それは、原作では小学5年生だった六つ子達を成人させ、一人一人にイメージカラーを設定し、性格に個性を持たせた事。 オリジナルでは全員同じだった6人の顔に少しずつアレンジを加え、区別がつくようにした事。 作品全体をポップで可愛い現代風のイメージに一新した事。 それぞれの声に人気声優を起用した事などが要因と考えられます。

 人気がうなぎ登りに上昇すると同時に様々な六つ子グッズが販売され、各種企業とのコラボ企画なども頻繁に展開されるようになりました。

 番組が終了してすでに1年が経ちますが、その人気は衰えるどころか益々過熱しているようです。


 六つ子に個性が与えられた事で、ファン達の間にもアイドルグループさながらの推しメンが生まれました。 彼女達はそれを「推し松」と呼ぶようです。

 ご主人様は、六つ子の中でもクールでナルシストの「カラ松」推しで、カラ松girlsを自認しています。

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 元々可愛い系のキャラクターグッズなどを収集するのがご趣味だったご主人様ですから、もちろんカラ松グッズのコレクションにも熱を入れられています。

 「生まれて初めてアニメイトに並んだの♡」とか「お姉ちゃんを誘っておそ松さんカフェに行ったの♡」などと、かなりご執心のご様子です。 その白魚のような美しい指先には、カラ松柄の痛ネイルが光っています。

 さらには、配下のM松達に協力を仰ぎ、限定コラボグッズを入手させているというお話も伺っていました。

 大の大人が、おそ松さんグッズを入手する為にコラボ牛丼を食べたり、コラボ菓子を買ったり、コラボドリンクを飲んだりして、その戦利品をご主人様に献上する姿ははたから見れば滑稽に映るかもしれません。 しかし、これぞ女王様に忠誠を誓う奴隷の正しいあり方だと思うのです。

 かくいう僕もご主人様との待ち合わせ場所に、某デパートのおそ松さんグッズ販売スペースを指定され、高度な羞恥プレイを味わわせて頂きました。

 場違いなオッさんが顔を赤らめながらご主人様のお姿を探し求め、若い女性たちの冷たい視線に晒されつつ、トレーディングスペースを行ったり来たりしている姿はさながら公開調教。 これではまるで変態です!

いや確かに僕は本物の変態ですが(^^;;

 ご主人様は少し遅れていらっしゃいましたが、奴隷の事など眼中に無く、キラキラと輝くその美しい眼差しはカラ松グッズに釘付けです。 嬉々としてキャラクターのパネルを写メに収められるお姿はとても微笑ましい。

 僕もご機嫌うかがいにその場でカラ松キーホルダー二種を献上させて頂いたのは言うまでもありません。 主への貢ぎ物は奴隷の勤めであります。

 商品を見ながら無邪気にはしゃぐご様子は、獲物を狩るような厳しい眼差しで僕に鞭を振られる時のご主人様とはまるで別人のようです。

 先日もご主人様のアニメイト巡りのお供をさせて頂き、バレンタインのお返しにキャラグッズをプレゼントさせて頂きました。

 開封するまで中身の分からないトレーディンググッズが二個含まれていたので、店頭でご主人様の推し松が当たるよう念を込めてパワーを送りました。

 グッズ売り場で5千円分位のグッズを買って差し上げて、その後おそ松さんコミックスの新刊を購入されるというご主人様と一緒に売り場を移動しました。

 お目当ての商品を手にお財布を出してレジに並ばれているご主人様に「小銭ありますよ」と500円玉を差し出したところ「えー、いいの?」ととても嬉しそうになさいました。

 ご主人様は僕のこの何気ない行動に痛く感動して下さったようで、「もう充分に買ってもらったのに、その一品にまで気の行き届く男性って他にいないよ」と、とても褒めて頂きました。 わずか400円くらいの商品ですが、金額じゃなくて心づかいが嬉しいのだそうです。

 その後、お食事をご一緒させて頂いた際、トレーディンググッズの中身が気になって仕方ないご主人様は、席に着くとすぐさま箱を開封されました。

 すると、僕の送ったパワー効果ではないでしょうが、それがご主人様の二大推し松だったのです!

「十四松きたーーーー‼︎」 「カラ松もきたーーーー‼︎」 嬉しい~!!(≧∇≦)キャハハハハァ

 ご主人様のその時のお喜びようときたら本当に純粋無垢な少女のようで、こちらまでホッコリと癒され幸福感に包み込まれました。

 まさにご主人様の歓びは奴隷の歓びと再確認した瞬間です。

 奴隷を自認するならば、お仕えする女王様がご興味を持たれている事がらを理解するように努め、最大限に尊重すべきだと思います。

 幸い僕は漫画アニメ関連は好きですし、昔からコレクター気質もあり色々集めていましたので、ご主人様のお気持ちは充分に理解できるのです。



 昭和40年代に、第一次ブームとなった原作版の「おそ松くん」は、僕も随分と夢中になって読んだものです。

 大流行した“シェー”のポーズを撮った写真の、1枚や2枚は必ずアルバムにあると言われている世代です。

 皇太子殿下からゴジラまで、みんな流行に乗ってシェーのポーズをした時代。


 後に赤塚氏は「おそ松くん」はまだ貧しかった世相を反映し、「食べ物」をテーマにして描いたと回想していました。 確かに原作は貧乏くさいエピソードが満載で、現代の若い女性が夢中になるような内容ではありません。

 しかし、キモ可愛くて生き生きとしたキャラクター群は赤塚漫画最大の魅力ですから、アレンジ次第で女性達のハートを射止めるのも理解できます。

 以前ご主人様に、「天才バカボンのオヤジ」の中のお灸責めが好きなお巡りさんのエピソードをお話しした事がありました。

 その時は、同じ作者が描いた「天才バカボン」をほとんどご存じなくてジェネレーションギャップを感じたものですが、「おそ松さん」では世代を超えて話題を共有できる事が何よりも嬉しかったです。

 僕も当時、曙出版から刊行されていたおそ松くん全集をわずかな小遣いをやりくりしながら夢中で買い集め、今でも大切に所有しています。


  実は何を隠そう、僕は幼年期に、おそ松くんに登場するトト子ちゃんのサディステックな魅力に心を奪われていた事があるのです。

 まだマゾヒズムという言葉も、女王様の存在も知らなかったはるか昔のおもひで。

 トト子ちゃんは顔立ちが整った美少女で六つ子のアイドル的存在ですが、意外にもその性格は男勝りで勝気なのです。 家業が魚屋さんなのでトト子。 彼女にはファイティング弱井というボクサーの兄がいます。

 そんな兄の影響か、作品中には癇癪を起こしたトト子ちゃんが、六つ子に強烈なボディブロー蹴りを見舞うシーンや六つ子達を全員木に吊るすシーンなどもありました。

 さらに自分の“美貌”を武器に六つ子達を操り、兄弟同士で争わせたり、最後に勝ち残ったおそ松にグーパンを食らわせたりとその女王様気質を発揮する事もしばしばです。

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 男が女性の暴力に屈するシーンに触れたのはこれが最初で、僕は幼い胸をときめかせ、その絵をおかずに小さなペニスを弄ったものでした。

 今回のアニメ化ではその勝気な性格や、ボディブローの得意技もパワーアップしているようなので嬉しい限りです。

おそ松さんsm

 ご主人様は最近、ご自分の事をやや自嘲気味に「カラ松の奴隷」と仰っています。

 カラ松に心を奪われ、グッズ収集に随分とお金と時間をかけているからだと思われます。

 そして僕はそのご主人様の奴隷

 「トト子に貢ぎ隊」というネーミングのゲームもあるくらいですから、当然六つ子達はトト子ちゃんの可愛さの前に跪く奴隷でしょう。

 つまりご主人様の奴隷である僕は、六つ子達の頭上に君臨するトト子ちゃんの奴隷でもあるわけです。

 彼女は僕の幼き日のマゾヒズムの芽を育ててくれた女性キャラクターですから、あながち間違いではないかも鴨川。

 今回の記事のタイトルの由来はそんなところからきています。

 大変おそまつ様でした。 チャンチャン。


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愛と幻想のマゾヒズム

 文豪・谷崎潤一郎の「日本に於けるクリップン事件」という短編の中に、彼が自己のマゾヒズム観を赤裸々に綴った一節があります。

 少し長くなりますが、以下に引用します。

  「マゾヒストは女性に虐待されることを喜ぶけれども、その喜びはどこまでも肉体的、官能的のものであって、毫末も精神的の要素を含まない。 人或はいわん、ではマゾヒストは単に心で軽蔑され、翻弄されただけでは快感を覚えないのか。 手を以て打たれ、足を以て蹴られなければ嬉しくないのかと。 それは勿論そうとは限らない。 しかしながら、心で軽蔑されるといっても、実のところはそういう関係を仮に拵え、あたかもそれを事実である如く空想して喜ぶのであって、言い換えれば一種の芝居、狂言に過ぎない。 何人といえども、真に尊敬に値いする女、心から彼を軽蔑する程の高貴な女なら、全然彼を相手にするはずがないことを知っているだろう。

 つまりマゾヒストは、実際に女の奴隷になるのではなく、そう見えるのを喜ぶのである。 見える以上にほんとうに奴隷にされたならば、彼らは迷惑するのである。 故に彼らは利己主義者であって、たまたま狂言に深入りをし過ぎ、誤って死ぬことはあろうけれども、自ら進んで、殉教者の如く女の前に身命を投げ出すことは絶対にない。 彼らの享楽する快感は、間接または直接に官能を刺戟する結果で、精神的の何物でもない。 彼等は彼等の妻や情婦を、女神の如く崇拝し、暴君の如く仰ぎ見ているようであって、その真相は彼等の特殊なる性慾に愉悦を与うる一つの人形、一つの器具としているのである。」



 “ほんとうに奴隷にされたならば、彼らは迷惑するのである”というくだりは、何度読んでもおかしくて笑ってしまいます。 なんとも身も蓋もない内容ですが、ほとんどのM男性の心理を言い当てているような気がします。

  文中では彼等と呼んでいますが、もちろんこれは谷崎本人の女性に対する心情を吐露したものだと思います。

  彼は、さらにこう続けます。
  「人形であり器具であるからして、飽きの来ることも当然であり、より良き人形、より良き器具に出遭った場合には、その方を使いたくなるでもあろう。 芝居や狂言はいつも同じ所作を演じたのでは面白くない。 絶えず新奇な筋を仕組み、俳優を変え、目先を変えて、やってみたい気にもなるであろう。」


 これはまさにご主人様と出会う前の僕の姿そのものです。 理想の女王様を求めてさまよっていた頃は、 女性を取っ替え引っ替えしていました。 理想の女王様に巡り合えたと思ってしばし立ち止まったとしても、女性側の事情で続かない、あるいは理想とは違っていた事がわかり、再び次を求めてさまよう…そんな事を繰り返してきました。

  当時の僕は女性崇拝の精神のかけらも持ち合わせていなかったように思います。


  女王様はM男の傀儡、 マゾヒズムは壮大なる茶番劇。


 何を今さらわかりきった事をと思われるでしょうが、僕はご主人様の奴隷にして頂いてから、少しだけこの考えに異論を唱え反発してきました。

 だから最近、友人である一般S女性に 改めて女性の目線からこの事を指摘されて、ちょっと傷ついてしまったりしたのでした。

  彼女曰く
「M男性は偶像を見せている女王様の言葉を信じ過ぎる。 彼女たちは清濁併せ呑んで、苦しさを隠して女優をやっているのだ…」と。 そして「彼女達はM男とホテルで2人きりでいる事をきついと思っている」と、女王様の本音まで明かしてくれました。

 もちろん僕だって30年以上もM男をやっていますから、女王様に夢を見させて頂いている事ぐらい百も承知しています。
僕のような変態の妄想に付き合って下さっている女王様の存在には、ただただ感謝の念しかありません。

 5年前、僕はご主人様と、とあるSMクラブで出会いました。 ネットで見つけたご主人様のプロフ写真に魅せられて、5年のブランクを経て復帰したのです。

 このブログにも何度も書いていますが、ご主人様とお店でプレイをしていた頃、僕はこれまでお会いしてきた女王様と同様にストーリープレイをお願いしていました。

 物語の設定からプレイ内容、プレイの順番、鞭打ちやビンタ、足蹴りの回数まで毎回詳細なシナリオを用意し、ご主人様には僕の考えた妄想劇場の主演女優をお願いしてきたわけです。

初めて、残りのマゾヒスト人生を捧げてもいいと思える理想の女王様と巡り会いながらも、相変わらずそんな状況が続いていました。

出会いから1年半が過ぎた頃、ご主人様から誘われる形で、僕とご主人様はお店を離れて会うようになりました。
その頃から僕の気持ちに少しずつ変化が生じてきたのです。

それまで女性に跪きたい、奴隷になりたいなどとは露ほども考えた事がなかった自分が、ご主人様を崇め、主従関係を結びたいと強く願うようになりました。

女王様に似つかわしくない優しい面立ち、女性らしい言葉使いや立ち居振る舞い、柔和ながらもしっかりとしたご性格、頭の回転の速さ、加虐を心から楽しまれているご様子。 どれもが僕を魅了しました。

崇拝するに相応しい女性が、初めて僕の目の前に立ちはだかったのです。

 この先、自分にとって彼女以上の最良のドミナと出会う事は、二度とないだろう。
僕はご主人様をM人生最後のドミナとする事を、勝手に決めさせて頂きました。

それはエゴマゾが、初めて女性の前に跪いた瞬間でした。

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そして「妄想劇場はもう終わりにしたい。 ご主人様に全権を委ね、真の奴隷の姿に少しでも近づきたい。」と思うようになりました。

 もちろん僕だってご主人様に軽蔑されたいとは思っていませんし、谷崎の言うように厳密には本物の奴隷とは言えないかも知れません。 でも、ご主人様の事を、“特殊なる性慾に愉悦を与うる一つの人形、一つの器具”として扱うのだけはやめて、絶対服従の精神で尽くしたいと思いました。

 これまでのようなわがままな振る舞いは排除して、今後はご主人様の色に染めて頂きたい。 そう本気で考え、奴隷契約書を交わしたのです。

 僕は元々キングオブ エゴマゾですから、ああして欲しいこうして欲しいと思う気持ちは沢山あります。
なので、それ以来ずっと自己の欲望との葛藤が続いていました。

 そんな中で、友人のS女性に改めて言われた“女王様=女優”発言に僕は大きな虚無感を感じてしまったのです。

 茶番劇はどこまで行っても茶番劇でしかありえないのだろうか?
 結局のところ、やせ我慢をしながら女優不在の一人芝居を続けていたのではなかったかと。

 実は体裁が悪いのでブログに書くことを控えていましたが、昨年末から、ご主人様との主従関係に微妙なすれ違いが生じ、様々な事情も重なって4ヶ月半の間、ご調教の休養を頂いていました。
そして、なんとなくモヤモヤした心が晴れないままに、この4月、奴隷として復帰させて頂いたばかりだったのです。

 そのあまりにも しょーもない理由に“エゴマゾはいくらあがいても所詮エゴマゾでしかない”と自己嫌悪に陥っていた最中でもありました。

 恥ずかしいので詳細は書きたくはありませんが、簡単に言ってしまえば、自ら最下層の奴隷の地位を望みながら、ご主人様が他のM男と仲良くしているのを羨んで嫉妬に狂ってしまったというようなことです。

 ご主人様に「見返りを求めない愛を捧げたい」などと、散々もっともらしい事を口にしてきながらこのざまです。

 休養中、ご主人様からは沢山の温かいお言葉をかけて頂きました。

「ムギがどう思おうと仕方ないけど、私の愛情だけは疑わないでね。それだけは約束だよ。」

もったいないお言葉、とても嬉しかったです。


 僕は、ご主人様の奴隷にして頂いてから、毎日、飽きずにご主人様の事ばかりを考えていました。
寂しくなると、剃毛の跡や焼印やペニスを覆う貞操帯を眺め、常にご主人様と共にあると思う事で孤独を紛らわせてきました。
しかし、お会いできるのはせいぜいが月に一回。 時間にしてわずか5〜6時間足らず、密室でのご調教の時だけです。

 ご主人様のお足元に平伏してご調教を受けている間は幸福感に包まれているのですが、帰宅すると途端に言い知れぬ孤独感に苛まれ、そのうち涙が溢れ出て止まらなくなりました。

 「ご主人様は今ごろ何をされているのだろう?  誰と会ってどんなプレイを楽しまれているのだろうか?」
そんな事ばかりが頭を掠めます。

 これまで僕は、奴隷として、崇拝するご主人様との“距離感”を大切に考えてきました。
そんな中で、他のM男たちと友人のように親しげにされているご主人様のご様子を知って、心を掻き乱され、軽い失望感を味わっていたのでした。

  聖域を踏み荒らされているようなやりきれない思い。 僕は自己のマゾヒズムに対する情熱をも失いかけていました。

 そんな苦悩の日々を過ごす中、友人のS女性は精神的な面でずっと僕を支えてくれていました。

 彼女は「もう5年にもなるのだから、ここらでご主人様と奴隷ではなく、対等の関係で人と人の繋がりを深めていってほしい。 ご主人様とこの先、10年20年と関係を続けていきたいなら良い機会なのではないか…」と、ご主人様とのお話し合いを提案してくれました。

 僕が非日常的な部分でご主人様に傾倒し過ぎているのを側から見ていて、違和感を感じていたそうです。

 そういえば、以前ご主人様にも「ムギは“自分の中の私”を見過ぎ!」とご注意を受けた事がありました。

僕ははたと思いました。

 もしかしたら… ご主人様は、僕が作り上げた偶像を壊さないように、今でもずっと女優を続けて下さっているのではないのか!?と。

 僕が知らず知らずのうちにそう仕向けていたのではなかったのか!? と。


 もし、そうだとしたら、なんと滑稽な事だろうか…

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 振り返ってみると、これまでご主人様とは、あまり本音で語り合った事はありませんでした。
お店のお客さんだった頃に比べれば、お互いの事をお話しする機会は増えたけれど、当たり障りのない話ばかりに終始していました。 


  考えてみたら、僕はご主人様の事を何一つ知らなかったのです。
 
 
ここのところ、僕はあまりご調教を受ける気分ではなかったので、ご主人様に、ご調教の時間を少し削ってお話ししたい旨を伝え、快諾して頂きました。

 そして、ホテルの部屋でご主人様と初めて膝を突き合わせ、お酒を頂きながら2時間ほどお話をさせて頂いたのです。

 ご主人様は僕の目を見つめ、何度も頷きながら、僕の“ご主人様に対する思いの丈”に耳を傾けて下さいました。

 ご主人様のおそばにいるだけで心が癒されます。
親子ほども年齢差がありながら、まるで幼い子供が母親と共にいるような安心感があるのです。

 これが女王様の“包容力”なのでしょう。

 そしてご自身でも色々な事をお話しして下さいました。

 愛犬の事を語りながら相好を崩され、ご趣味のお話では目を輝かせられます。 SMクラブにお勤めになった経緯を教えて下さり、配下のM男達への思いを語られます。 絵が素晴らしくお上手な事も初めて知りました。

 そして昨年、4年間お勤めになったSMクラブをお辞めになった理由をお話し下さいました。

お店を離れてプライベートでもSMを楽しまれるようになった事で、お仕事としてのSMとの間にはっきりとテンションに差ができてしまったのだそうです。 

 新規のお客さんに対する不安や、お客さんの嗜好に合わせなければならない事に疲れて果ててしまった・・・

「そんな気持ちを抱きながらお客さんに接するのは申し訳ない、プロの女王様としてどうなんだろう?」と悩まれた結果、退店する事をご選択されたようです。

 友人のS女性が言っていた事は、中らずと雖も遠からず と言ったところでしょうか…

 そしてご主人様がお考えになられている奴隷の定義を教えて頂きました。

 その上で改めてご主人様のお口から、「ムギは間違いなく、私にとって唯一の奴隷だから!」と、はっきりと仰って頂いたのです。 昨年から僕が抱いてきたわだかまりは一瞬にして氷解しました。

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 思えば“奴隷”という、マゾヒストにとって最高に名誉ある称号を頂きながら、それ以上何を求める事があるのでしょうか?

 “奴隷”が”M男”に嫉妬するなど愚かな事です。

 最後に他人には打ち明けにくい、ごくプライベートなことまでお話頂き、僕はご主人様にとって心を許して頂ける存在になれた事を実感しました。 


 これまでご主人様に対して、なんとなく虚像を崇拝しているような感覚に陥る事もあったのですが、ボンヤリとしていた輪郭がはっきりと見えてきた事によって、親近感が増し、逆に崇拝心も深まったような気がしました。

 いつもはホテルの部屋で平伏してご主人様をお見送りした後、帰り支度を始めるのですが、その日はご一緒にホテルを出る事にしました。

 駅へと向かう道すがら、選挙ポスターの掲示板を横目に、僕は何気なくご主人様にお訪ねしました。

  「選挙へは行かれるのですか?」

 するとご主人様は、「もちろん行くよ。 たとえ支持政党が無くて白票を投じたとしても、自分の意志だけは伝えに行く。」と仰ったのです。

 そのお言葉を聞いて、僕はご主人様の意外な一面を見たような気がしました。

 女優などして頂かなくとも、“等身大”のご主人様もとても魅力的な女性でした。

 駅の構内でお別れのご挨拶をし、改札に向かわれるご主人様の後ろ姿を見送りながら、僕は奴隷として、こんなにも素敵な女性にお仕え出きる幸せを痛感したのでした。

 そして、これからもずっと死ぬまでおそばに置いて頂き、ご主人様に僕のマゾ人生の最期を看取って頂きたいと心から願ったのでした。



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お印を戴く

 皇族の方々は、所有される身の周りの品々に、それぞれご自身のご徽章を付ける慣わしがあり、これをお印と呼びます。 多くは植物をデザインしたシンボルマークで、これを名前代りに持ち物に刻むのです。

 私たち下々の者も園児や小学校低学年の頃、持ち物の一つ一つに自分の名前を書き込んだ記憶があるかと思います。 当たり前の事ながら、所有物にお印や名前を入れるのは、他人の物と区別し自分の私物である事を明確にする為です。

 
 この度、僕は改めてご主人様の所有物である事を承認して頂き、身体にそのお印を戴く事となりました。 これは僕が、ご主人様に対して“生涯に渡って隷属を誓う証し”でもあります。

 身体に烙印を頂く事は、ご主人様と奴隷契約を締結した時からの念願でした。 ご主人様からはご快諾を頂いていましたが、具体的に実行に移す計画に関しては、ずっと白紙のままだったのです。

 長年、自己の被虐願望を満たす為にSMクラブに通いつめ、SMにドップリ浸かった生活を送っては来ましたが、元来エゴマゾだった僕は、正直言って自分がここまで思いつめるとは考えてもみませんでした。

 ご主人様と奴隷契約を締結してから、この一年あまりで僕のマゾヒズムはどんどん進化を遂げていったのです。 マゾヒズムを精神的疾患と定義するなら、どんどん重症化したと言ってもいいでしょう。

 それまでは、ストーリープレイを中心とした妄想的SMが主体で、現実とは明確に切り離されていました。

 しかし、この1年の間、僕は美しきドミナに身も心も支配され、隷従の喜びに魅了され、さらにリアルな主従関係を極めたいと願うようになりました。

剃毛、貞操帯、奴隷の烙印…。

 これらは多くの奴隷志願者たちが憧れてはいても、社会的な制約や様々な事情で、中々踏み出す事ができない領域です。

 逆に、いくら奴隷がそれらを望んだとしても、ドミナが受け入れて下さらなければ、独りよがりに過ぎません。

 僕が隷従のステップを着実に上がって来られたのは、全てご主人様のおかげです。

 お印を戴く覚悟が決まってからは、一日も早く実現したくて、調教の度にご主人様とお話し合いを重ねてきました。

 そして、本年の8月26日、ご主人様と奴隷契約を締結して一周年となる、その記念すべき日についに実現する運びとなったのです。

 刻印の方法は、ヤプーズマーケットのVIDEO等でお馴染みの焼印に決定しました。
 そして印面にはご主人様のご本名を刻んで頂くことになりました。
イニシャルやシンボルマークなどよりも、支配者のお名前をはっきりと刻んで頂ける方が、奴隷にとっては嬉しく、光栄でもあります。

 焼きゴテを使って身体にお名前を焼き付けて頂くという行為は、被虐的レベルとしてもMAXでしょう。 ご主人様の支配欲加虐欲も充分に満たして頂けるものと思います。

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 「私の名前を身体に刻むなんて、完全に私物化されるね♩  お前はもう他の誰の物にもなれないわよ」とご主人様は仰います。 もちろん僕は「ご主人様以外の誰の物にもなるつもりはございません」とお誓い申し上げました。

 ヤプーズマーケットの場合は「犬」と言う一文字を押印するのが恒例で、所有者を特定する為のものではありません。 あれは、奴隷に家畜である事を認識させる為の“高度な恥辱プレイ”だと思います。

 ドミナのお名前を奴隷の身体に刻み込んだものとしては、局部周辺への刺青や胸部への焼け火箸による署名を見たことがあります。 ラ・シオラのプロデューサー、朝霧リエ女王様がどちらの方法も実践されており、その様子は北川プロの女王様VIDEOに収録されていたと思います。

 鉄の火箸をバーナーで炙っては、何度も何度も奴隷の胸部に押し付けて、お名前を刻み込んでいきます。 奴隷の悲鳴と肉を焦がす臭気。 立ち上る煙があまりにもリアルで目を背けたくなる様な映像でしたが、僕は背筋を凍らせながらも画面に釘付けにされていました。 胸部に押し付ける前に、真っ赤に焼けた火箸の先端を奴隷の髪に近づけていくリエ女王様。 一瞬で髪の先端が燃え、シュッと煙が立ち込めます。 この時の奴隷の恐怖はいかほどのものだったのでしょうか。

 以前、プライベートのS女性、四季女王様のサイトでも、奴隷のペニスに焼印を入れている映像を観た事があります。 一瞬で終わりましたが、最も敏感な男性の象徴に焼印を押すという行為には戦慄を覚えました。
ただ、男性器というのは治癒能力が高いので、苦しみの割りには焼印はあまり永くは残らなかったかもしれません。

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「熱いんだろうなー。肉の焼ける匂いがするかなぁ…ウフッ、楽しみ〜♩」ご主人様は本当に嬉しそうです。 僕は今まで、こんなにも可愛いらしくて、無邪気なS女性に出会った事がありません。 でも、ご主人様が、その時をこんなにも楽しみにして下さっているという事は、奴隷冥利に尽きるというものです。

 映像で観た“奴隷達の絶叫”や“皮膚を焦がす焼き痕のシーン”を思い起こすと恐ろしくなりますが、その苦しみを乗り越えた先に無上の喜びが待っているのです。

 焼印はご主人様にご準備頂ける事になっていますが、ご主人様のご提案で電気ゴテを使用する事になりました。  あまりに高温だと周囲の肉も焼けてしまい、烙印が綺麗に残らない可能性があるからだそうです。  電気ゴテなら温度も安定しているので、文字が潰れにくいという利点があります。 ホテルの一室でガスバーナーを使うのも火災の危険が伴いますし、ビジュアル的には若干物足りませんが僕もその方が無難だと思います。

 さて、次に印面をローマ字、ひらがな、漢字のいずれで作るかという問題があります。
 ローマ字では文字数が少し多すぎます。 ひらがなやカタカナは単純で綺麗に刻印できそうですが、ここは、より所有者が特定される漢字にして頂きました。
文字数も画数もヤプーズの「犬」よりはるかに多いので、おそらく熱さも倍増でしょう。

 当日は動いて失敗する事がない様に四肢をガッチリと拘束し、口枷で悲鳴を封じた上でご主人様に馬乗りになって頂き、確実に烙印を押して頂きたい。 想像するだけでカウパー腺液が滲んできます。

 感染症などの危険もありますので、抗生物質を用意し、傷口のケアなどは万全を期したいと思います。

 密室で行われるドミナと奴隷の神聖なる儀式。

 いよいよ1ヶ月後に迫ってまいりました。

 カウントダウンの、始まりです

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top of masochist

 先日のご調教でご主人様からTOP MASOの称号を頂きました。

 なんかTOP GUNみたいでカッケー(笑)

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 3年間の女王様経験を持つご主人様ですが、これまで遭遇した数多のM男の中で、僕が最もハードなマゾだという事です。 
奴隷の中のエリートであることも認定して頂きました(^o^)

 過去にも、有名なベテラン女王様に5指に入るドMだと言われた事がありますし、某クラブでは伝説のハードマゾなどとお褒めに預かる事もありました。しかし、僕にとってはご主人様にNo.1と認めて頂けたのが最高の栄誉です。

 もちろん上には上がいる事は承知しています。

 ハード女王様が多数在籍するような専門のSMクラブには苦痛系マゾがいくらでも群がってくるのでしょう。 そんなところで自分はハードMだなどと豪語しようものなら、トンデモナイ目に合わされるのはわかりきっています。 だからカウンセリングなどでM度を尋ねられると常に“中ハード”程度ですと申告してきました。

 まあ、実際もそんなところだと思います。

 僕は特別に痛みに強いわけではありません。

 美しい女性から与えて頂く苦痛だからこそ、快感に転化する事ができるのです。

 ご主人様は「いい声で鳴いて私を喜ばせてくれるのね」と感激されますが、僕は悲鳴をこらえる事はしません。

 喉が枯れるほど泣き叫ぶことがカタルシスに繋がっていると思うからです。 お陰様でご調教後は憑き物が落ちたようにスッキリとします。

 僕が初めてお会いした時、ご主人様はまだデビュー3ヶ月目の新人さんでした。 出勤日数もその時点では、おそらく20日程度だったと思われます。 

 お可愛らしい容姿に似合わず、最初から素晴らしいドSの素質をお持ちでした。 それまで一本鞭や火責めなどのハードプレイは未経験だったので、最初は戸惑われたそうですが、それでも僕は毎回執拗にプレイに取り入れて頂きました。

 ご主人様には逆調教などと言われた事もありますが、女王様はM男によって経験を積んで成長を遂げるものだと思います。 今ではどちらも大好きで得意な責めとして楽しんで頂いています。

 僕も、これまでM歴だけは長かったものの、ご主人様のご調教を受ける事でマゾとしてまだまだ伸び代がある事を確認できました。これはとても嬉しかったです。

 またご主人様によって主従関係の喜びを教えて頂いた事はとても大きいです。

 ご主人様とは相互に成長し合える、とても良い関係性を築けていると思います。

 生意気ではありますが、僕もご主人様にはTOP MISTRESSの称号を差し上げたいと思います。
 
 美貌もS性も自分が出会った200名以上の女王様の中でダントツのNo.1です。

 ご主人様にはとりあえずTOPと認めては頂きましたが、僕にはまだまだ課題が沢山残されているそうです。
 特にご主人様がお持ちの天の介性ハード鞭は、全然打ち足りていないようでご不満をお持ちです。 

 抜き地獄を羨んだり、アナル調教を要望させて頂いた所、「そんなのは腑抜けのやること」と一蹴されてしまいました(笑) 

 フェチやぬるい調教は飽き飽きしているのでしょう。 僕もご主人様のご期待にお応えできる様、これからも必死で頑張りたいと思います。

 

 ご主人様「お前をこの天の介でリアルにミンチにするのが夢なの♡ 私のトップマゾ・mugi^_−☆

 mugi「……………… T^T」



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リアル「芋虫」

「mugiも乱歩が好きなのね。」

「ハイッ? 」

「乱歩。私も結構好き♡


このBlogの「乱歩体験」のエントリーを読んで下さったご主人様のお言葉です。

 若い女性が、大正末期〜昭和の中期に書かれた江戸川乱歩のグロ小説がお好きだなんて、ちょっと意外でした。 しかし、よく考えると女王様のBlogのプロフには、好きな作家として谷崎潤一郎澁澤龍彦と並んで、江戸川乱歩の名が挙げられていることも珍しくなかった様な気もします。

 ご主人様も、学生時代に澁澤龍彦に興味を持たれて、お読みになっていたと伺いましたので、やはり以前からそうした素養をお持ちだったのでしょう。

 そんな乱歩の小説の話題からご主人様が、昔の思い出話を聞かせて下さいました。

 それは、ご主人様が20歳位の時のこと。
 
 当時、おつき合いをされていた彼が体調を崩し、心臓のカテーテル検査を受ける事になったのだそうです。 

 入院した彼の病室を見舞ったご主人様は、心臓に細い管を注入する為にベッドの上で一切身動きが出来ない状態にされた彼の姿を見つけました。 身体に心電図モニターなどの医療機器が取り付けられ、導尿などの処置も施されていて、自分では全く動けない状況だったそうです。

 それはまるで乱歩の芋虫を彷彿させるような哀れさがありました。 そんな気の毒な状態の彼を一目見た瞬間に、ご主人様はとても衝撃を受けて興奮されたということです。

「この子は動けないんだ! 」

 そして無性に「可愛がりたい!」という衝動に駆られたのです。 「血塗られたリカちゃん人形」の時もそうでしたが、ご主人様は、人が大怪我を負っていたり動けなかったりと、可哀想な状況に置かれている事にとても激しく萌えるということです。

 そうして動けない彼の歯を磨いてあげたり、甲斐甲斐しくお世話を焼いてあげる事でキュンキュンと胸がときめいていたのです。

 ところが、ある日いつものように病室に行くと、無事に検査を終えて医療機器から解放され、自由になった彼の姿がありました。 退院も間近の彼は、憎らしいほど元気そうで、ベッドの上でゲームなんかして遊んでいました。 これを見たご主人様はものすごいショックを受けたそうです。

ずっとあのままでいればよかったのに…

もう一度具合が悪くならないかな… そんなとても残念で寂しい気持ちになりました。

 この思いをお友達に話したところ、まるで乱歩の「芋虫」みたい…リアル芋虫だねと笑っていたそうです。 しかも何か不安がよぎったのでしょうか…「彼のことをそんな風にしちゃダメだよ」と忠告されたとか…

乱歩の「芋虫」をご存知ない方の為に少し解説しますと…


戦争で四肢を失い、無残な肉塊となって帰還した元陸軍の須永中尉。
 彼の妻時子は、聴覚や声帯までも失って不気味な芋虫と化した夫を3年間、献身的に支え介護に努めてきました。 しかしそれは表向きで、女盛りの彼女は、影で無力な夫を自由に弄び陵辱して楽しんでいたのです。 時子の秘められた残虐性は、次第にエスカレートしていきます。 やがて、意思を伝える最後の手段として残されていた夫の両眼までも傷つけてしまうのです。 罪の意識におののく時子。 ラストは、須永が持てる力を振り絞って庭を這いずって行き、古井戸に身を投げるという後味の悪い結末で終わっています。


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 乱歩の妻はこの作品を評して「いやらしい」と感想を述べ、親しい芸妓達は「ご飯が食べられなくなる」と嫌ったそうです。

 「芋虫」は反戦的な作品と捉えられ、発表直後に発禁の憂き目に合っています。

 乱歩の本音のところは分かりませんけれど、彼自身は後にイデオロギーとは全く無関係だったと語っています。

 同じような題材を扱った作品に「ジョニーは戦場に行った」がありますが、こちらは明らかに反戦小説で著者自らの脚本・監督で1971年に映画化されています。

 乱歩の陰惨なエログロとは全く趣が違いますので、比較するのもなんですが…やはり乱歩の場合は、異常性欲や変態的嗜好を描く手法の一つとして“意志を持った肉塊”という素材を扱ったに過ぎないのではないかと思います。

 “芋虫"と言えば、SMの全身拘束具にボディサックというのがあります。
 
 これで首から足まですっぽり包み込んでジッパーを上げ、さらに6本のベルトで締め上げると全く身動きの取れない“芋虫”状態になります。性器を露出させる事は可能です。

 これに耳栓をつけてアイマスクペニスギャグが付いた全頭マスクを併用すれば乱歩の"芋虫"気分が味わえますね。

 これならご主人様に少しは萌えて頂けるかもしれません。

 前回のご調教では、上半身だけラップグルグル巻にされて一本鞭で打たれました。 這いずり回ったり転がったりして鞭から逃れようと必死で暴れているうちに緩んできてしまいましたが、被虐的で情けなくて、とてもいい感じでした。

 今度ぜひ乱歩の“芋虫”をご調教に取り入れて頂きたいと思います。


さて、ご主人様はお友達から「彼のことをそんな風(芋虫)にしちゃダメだよ」と忠告されたそうですが、一体どんな人だと思われているのでしょうね…
…怖すぎます(^_^;)


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プロフィール

mugi

Author:mugi
踏みつけられて、より強く丈夫に
育つムギの様でありなさいと
ご主人様が付けて下さった奴隷
名です。なんという素晴らしい
ネーミングセンス!
しかも音の響きも可愛らしい。
ビールが大好物の僕にピッタリ!
とても気に入っています(*^o^*)
馬派(苦痛)・犬派(奉仕)・豚派
(便器)全てのM性癖を持ち合わ
せたオールラウンダーな変態を
目指しています。

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